工房の中にいても、力強い陽射しを感じる日々が少しずつ多くなってきている。春は確実に近づいている。

 

いつもなら待ち焦がれた春を感じて気分も高揚するのだが、今年は少し違う。薪ストーブを焚けるのがあとわずかだと思うと、何だか寂しさを感じているからだ。

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それだけ、薪ストーブライフが楽しかった。ご飯を炊いたり、餅を焼いたり、弁当を保温したり。ストーブトップには常にお湯が沸いているので、いつでも気軽にコーヒーブレイクができた。これからは、電気・ガスを使って同じことをしなければいけない。手段が違うだけだが、暖房の一部でできていたのに別のエネルギーを必要とすることが貧乏性の僕にはしっくりこない。ずっと冬だったらいいのになと思ったが、薪が底を尽きてきた現実を考えればそれも無理。まあ、冬はまたやってくる。次のシーズンを大いに楽しむために準備も必要だ。

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来シーズンは手間のかかる料理を楽しもうと思って、メディアで紹介されていたこんな本を買ってみた。ストーブ料理に興味を持ち始めた人がそばにいるので、そっとカウンターにでも置いておこうと思っている。

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暖かくなれば菜園・養蜂の準備も始めなければいけないが、今年は釣りにも時間を割こうと思っている。ヤマメやイワナをストーブで料理して食べるためだ。シンプルに塩焼きもいいが、少し手間をかけて燻製にしようと思っている。真夏の日中は暑くて無理かもしれないが、少し肌寒く感じる朝晩を狙えば、夏でもできそうな気がする。山に分け入り小枝を拾い集める。今年は倒木が多いので、その程度の焚き木には苦労しないだろう。燻製にはチェリー材を削って、チップを作ればいい。以前、他人の作ったものを食べ、本当に美味しく感じたのを覚えている。今まで面倒で一度も自分で作らなかったが、今年は作ると決めた。先ずは釣りに行かないといけない。

ここ最近の自分のテーマは、手間を惜しまないこと。家具にも安くするために手間を省いたものが多く存在するが、それに反して手間のかかることを積極的に提案・制作している。手間のかけどころも肝心なのでそこを見極め、見る人が見ればその違いのわかるものを制作したい。そんな家具が、空間の質を上げると思っている。

こんなに積もった雪はいつ融けるのだろうと思っていたが、日増しに薄くなってゆく雪を見ると自然の凄さを改めて想う。雪の解けたわずかなスペースには、気の早いフキノトウが顔を出していた。

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終わりはいつでも寂しいが、別の何かが始まると思えばそうでもない。そこで全てが終わってしまうと思うのは小さな世界しか見ていないからで、ちょっと周りを見渡せば全ては大きな流れの中にある。そこではたくさんの終わりと始まりが繰り返されている。無限大と無限小、拡散と求心。これらが全くの別物ではなく、どこかでつながっているのではないかと、ふと想う。

冬が終わろうとしている。

 

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