これでもキッチン。
最初、建築図面には、トイレのつづきに洗面所が存在していた。トイレには簡易的な手洗いが本体そのものについているので、洗面所は不要と考え、空間をきっちりわけて、そこをキッチンにすることにした。小さなシンクを設置し、振り返ればすぐにカウンターと食器収納がある。畳一枚分の広さだが、僕には十分な大きさ。コンロは薪ストーブ。シンクとコンロがあればキッチンである。本格的な料理はできないが、実に使いやすい配置・大きさだと思っている。小ぶりな丸テーブルでもおけば、小さなダイニングキッチンと呼べなくもない。クライアントにキッチンを頼まれることが多くなり、キッチンの魅力にはまった。食は日々の生活の大きな楽しみの一つ。その食の中心となるのがキッチン。工房には不要な空間にも思えるが、1日の大半を過ごす場所にはやはり必要だ。客人があれば、すぐに準備してストーブトップで料理しながらもてなすこともできる。小さな家具たちの使用感や経年変化も見てもらえる。使われていない家具を並べたショールームはつまらない。使い込んで古艶を帯びた家の道具としての家具をみてもらえる場所として、オフィスの家具ともども使いこんでいくつもり。