ようやく、開き始めた桜も、じっと寒さに耐えている。今年の春はゆっくりやってきた。

 

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完成した家具を積み込んで走る深夜。いつの間にか、雨が雪に変わっていた。僕のタイヤ交換は5月の連休に行うようにしているのは、こんなことがあることを想定している。

荷台に積まれた家具は、クライアントの小学校に通う娘さん二人のためのデスク。金物の選定に手間取り、納得ゆくものを探していたら、約束の納期から半月遅れ。新学期が始まってからの納品となってしまった。それでも、何も言わず待ってくれていたクライアントに感謝。


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メイプル無垢材で制作されたこのデスクは、子供に媚びない大人のデザインとなっている。将来、嫁入り道具として持たせたいというクライアントの意志を汲んでのこと。古くなっても似合うように、金物は全て真鍮製とし英国アンティーク家具に使われるものを使っている。扉を開くと支えの板が連動して出る機構が組み込んであり、乱暴な扱いは許されない。鍵を開け、扉を静かに開く。一連の動作を丁寧に行い、初めて机に向かうことができる。

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美しい所作は急に身につくものではない。日々の生活の中で磨かれ、体に染み込んでゆく。それはこんな家具を使うことからも、もたらされるのではないかと思う。将来、立ち居振る舞いの美しい娘さんになって欲しいという、作り手からの想いも込めて制作させてもらった。

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この二台のデスクは、全てのパーツを板から二分するように制作されている。並べるとわかるのだが、木目がつながる部分でそれを伺い知ることができる。同じカタチで他にも作ることはできるが、この二台はそういう意味で特別な関係を持つ。将来、別々のところにあっても、姉妹のようにつながり合う。

納品翌日、二人の娘さんがたいそう気に入ってくれたと連絡を受けた。こんな嬉しいことはない。将来、大きくなった娘さんと古艶をおびたデスクに会いにいきたいなと思う。

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飛騨に戻って、うれしい発見をした。それは、このキンリョウヘン。ニホンミツバチの捕獲のために一昨年から育てているランの仲間。今年は花芽が出てこないので、育て方を誤ったと思い込んでいたが、今になって小さな花芽が伸びてきていることに気づいた。玄関内の少し暖かい場所で育てているのだが、どうやって春を知るのだろう。

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近所を歩くと、そこかしかこに花を見つけることができる。どれも美しいが、僕が好きなのはどこにでも自生しているオオイヌノフグリの小さな花。この控えめな美しさに惹かれる。

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あれだけ、冬が終わることが残念だと思っていたが、やはり春はいい。自宅用の薪(8トン)がすでに到着しているので、早速薪づくりを始めた。工房用の薪(5トン)は、6月にくる予定。計13トンの薪は過去最高の量。僕の大事なものを暖めるために、今年もたくさん汗をかくつもり。

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特別な運動はしていないけれど、冬は雪かき、夏は薪づくりがある。もうそろそろ始める野菜作りも意外にいい運動になる。生活の中で自然に体を動かしているので、良くも悪くも長い間体型は変わらない(ずっと小太り・・)。

体を動かす、いい季節がやってきた。今年も自分の体に感謝しながら、いろんなことをしようと思う。しばし、薪ストーブはインテリアの一部となる。さあ、春を楽しむぞ!

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