基本的な知識の上に技術が育ち、技術を磨く中で新たな知識を経験則として身につけていく。

 

 

 

 

たまたま手にした新書「日本人の英語」シリーズ。誰もが知っている、a,theというような冠詞の持つ意味(使い分け方)をようやく知りました。こういうことを知識として学校教育できちんと教えてくれないのはどうしてでしょう。こんなことも知らずに英語を学んでいたことが虚しくなる始末。大学までずっと英語を学びましたが、それでも喋ることのできない理由をこう考えてきました。言葉は道具と一緒で、使わなければ錆びる。基礎があり環境さえ整えば、自分も自由に喋ることができるはずだと。しかし、この本を読んでそんな思いがくつがえりました。基礎が怪しい(笑)。

この本の中では映画の字幕も取り上げられており、ニュアンスの違いが分かりやすく解説されているところがあります。それを読んで、今まで海外文学の名作と言われるものを読んでも、今ひとつ感動できないことが妙に納得できました。様々な背景を理解していなければ、正しい翻訳はできないのです。そして、読む側にも必要な知識があるような気がします。

 

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コンバーターでインクを吸い上げるのが好き

 

知識は多いほど良い。でも、博学を競う合うような人々のように、ただ知っているという状態は羨ましくない。日々活用できる生きた知識が欲しいと思う。シュタイナー教育に関する書籍を読んだ時、例えば2ヶ月通して数学だけを勉強するという方法が行われていることが紹介されていました(エポックとあったように記憶している・・)。その後は、他の科目を勉強するため、数ヶ月間は数学に触れることもない。当然、子供たちは忘れてしまう子もいる。でも、それでいいのだとありました。大事なのは、学ぶ方法を身につけることだからと。

これには大いに共感してしまいました。大事なのは、記憶していることではありません。社会人になって多くの優れている人に出会ってきましたが、決して彼ら彼女らが良い大学を出た人たちばかりではありません。本当に頭の良い人というのは、学ぶ方法を身につけている聡明な人。「聡明な女性は料理がうまい」と言ったのは桐島洋子ですが、そのような人が何かに固執すれば秀でた結果を残すのだと思います。私も聡明でありたい。

 

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ビスケットは小腹が空いた時用に常備している

これは一朝一夕で身につくものではないし、何かをすれば必ず身につけられるというものでもなさそうです。聡明な人たちをじっと眺めていると、日々の生活を丁寧に暮らしているように感じます。丁寧に暮らすとは、手間をかけることではありません。ある方と話していたら、「この歳になるといかに効率的にできるかを常に考えている」という言葉が(60歳は超えていると思いますが女性なので詳しいお歳は聞いておりません)。聞けば効率的と言っても、コーヒーをインスタントにすることではなく、豆挽きからドリップまでを機械に頼るような感じ。質は決して落とさない。

そして共通するのは音楽や美術、芸術によく触れられていること。以前、お会いしたお客様に言われたことがあります。「作り手ならば、本物に見て触れる機会を持ち続けなさい」と。ご自身が所有する経年変化した美しい剣持勇のラタンチェアに掛けさせていただきながら、いろいろな話をお聞きしたのが懐かしい思い出です。

それだけが理由ではありませんが、出張のたびに時間をつくり、美術館をチェックするのは仕事の一部と考えるようにしています。いつか聡明な人になれたらいいなあと思いますが、そもそもそんな風になれるものではないのかもしれません。。。しかも、こんなうわべだけ真似しても無理だなと。

 

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近くの果樹園直売所で購入 シナノゴールド(6個入500円) 甘酸っぱさがお気に入り 

 

そんな折、段ボールに包まれたバスケットが届きました。バスケット作家のHIROさんの新作です。木製パーツを作らせていただいていますが、写真撮影のお手伝いもさせてもらっています。写真の技術は恥ずかしい限りですが、それでも綺麗に撮れていますと喜んでいただけるので調子に乗って撮影させてもらっています。

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即席の簡易スタジオを用意して撮影

写真というのは上手な人が撮ると、とてもいい雰囲気を作り出すことができます。しかし、この雰囲気の良い写真は曲者で、それに惹かれて手にすると実物のクオリティにがっかりすることもしばしば。なので、変に雰囲気を良くする技術には興味なく、ありのままを写すことに専念しています。この質感はやはり実物に触れて見ていただかないと、表現などできないからです。

 

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どこから見ても美しい 経年変化で飴色になる

それにしても、作家さんの新作を手にすることができるのは貴重な体験であり役得です。丁寧に制作されたバスケットを見るたびに、近い将来オーダーでパン用のオープンバスケットをお願いしたいと思い続けています。何十年も大事に使って飴色に変化したバスケットはさぞや美しいだろうなあと想像するのです。そこに入るバゲットはどんなものでも美味しく見えそうです。(HIROさんのオンラインストアは上記メニューのBASKETからどうぞ)

 

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飛騨五木(株)さんに依頼されて、デザイン・制作した時計 CLOG(CLOCK時計とLOG丸太の造語)

 

知識・技術の話から始まりましたが、この文章のまとまりのなさは聡明さとかけ離れています。いや、恥ずかしい。そろそろ家具の設計に戻ろうと思います。しばらく、ご依頼をいただいたお客様の設計が続きます。今年は雪がほとんど降らないので、雪またじ(飛騨の方言 除雪のことです)で体を使うことがありません。そのため設計の合間に、雪のない道路をせっせと散歩する日々。こんな冬は珍しいので、大いに楽しもうと思います。

 

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カテゴリー: life

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