居間にはつけっぱなしのテレビ。誰が視ているのかはっきりしない。しばし本から抜けだし、休憩がてらテレビを眺める。

 

 

 

妻と意見が合うのは、最近のテレビは面白い番組がほとんどないこと。いい番組だなと思うのは、NHKのものが多い。歳をとったのかなと笑い合いました。

たまたま芥川賞をとった又吉直樹が出ていて執筆部屋でのインタビュー風景が映っていたのですが、内容よりも気になったのは座っていた椅子でした。体に合っていないオーバーサイズの椅子。ファッションでは評価が高い人なので、どうにも違和感を感じました。

 

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もう一つ気になったのはダイワハウスのコマーシャル。竹野内豊が家族に嘘をつく「夫の本音」。天井が高いことをアピールするために作られたモノですが、あれは私のような人には逆効果だなと感じます。よく似た子役を使ったと思われるセピア色の写真たち。そこに写る楽しそうな笑顔には、誰もが昔の自分と重ねてしまうのではないかと感じます。私の子供時代にも押入れや机の下は安息の場の一つでしたし、本来人間が持つ原始からの記憶が、狭い場所を好ませるとも思っています(外敵から身を守りやすい狭い場所は安心感を生む)。家具を作っているため必然的に多くの空間を見てきましたが、意図的に天井高を下げる建築家が多いのも確か。結局は人の感じ方は色々なので住み手が満足ならばいいのですが、いろいろ見てきた経験から言えば私はやはり低い方が好きです。

具体的な数字を挙げるとこんな感じ。先のCMのダイワハウスのHPによれば最高天井高は3080ミリとありました(床を360ミリ下げないと2720ミリ)。我が家を調べてみると2500(梁下は2300)。工房のオフィスは2100。工房は2500(機械場は7000)。天井高の感じ方には広さも影響するので数字だけではなかなか判断できませんが、一番落ち着くのは工房のオフィスです。そのため、将来工房の敷地にもう一つ建物(9坪の小さな家)を建てるつもりですが、天井高は2100以下にしようと計画中。

家具のことを考えると、必然的に使う人・空間が気になります。もちろん、どんな空間でどんな風に使われるか知らなくても家具は作ることができますし、多くの家具がそんな風に作られていますが、オーダー家具はやはり人と空間を意識しないと本当ではないと思います。昨年末購入した本は半分ほどが建築関係だったのも、家具の入る空間をより深く知りたいがためなのです。

今年の年賀はがきは写真ではなく家具のある空間のパースにしてみました。イメージを分かりやすくお客様に伝えるためにこんな風に描いてみるのもいいなあと最近始めました。ちなみに、真ん中に書かれた飾りは飛騨地域の正月飾り「花餅」。形の良い枝に、紅白の餅をつけたものです。日々の暮らしが見えてきます。

空間・使う人を意識しながらの家具作りは、暮らしをデザインしているんだなと思います。

 

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