つい先日、高山市から声をかけていただき、高山市の広葉樹ブランド化に関する会議に出かけてきました。3年前にも個人的に声をかけ市に働きかけましたが、その時は時期尚早だったのかその後の進展はなし。今年度は、すでに2回の会議が済んでおり前回とは明らかに違った様子。興味津々で今年度3回目の会議に参加してきました。

 

 

 

結論からいうと、ちょっと肩透かしを食らったような感じ。すでに何度も会議を開いているのは、今回の声かけがオーク・ヴィレッジ(以下、O.V)によるところが大きそうでした。ブランド化によるメリットがO.VにはあることをしきりにO.V担当者が話されるのですが、どうも使うということ以外の内容が見えない。メリットを感じない方がいるのであれば、以降は参加してもらわなくてもいいですよ、と言われても・・。私が考えていたブランド化とは少し違うなあというのが感想です。ブランド化するならば、ただ地産地消をうたうだけではなく、もっと意義のあるものにしてゆきたい。話を聞いた人がぜひ参加したくなるような。

 


 

3年前に意識してからというもの、少しでも高山市産広葉樹を使おうと、初年度は10本、次年度は20本、昨年は40本の丸太を自身で購入しお客様にもご提案し家具に使用してきました。しかし、ナラやクリの色合いは地味に映るようで、ウォールナットやチェリーなど海外の高級感を感じる材料に比べるとなかなか選んでもらえないことも。ナチュラルな色合いはクセもなく飽きもこない。長く付き合うには向いているので、私のオフィスの家具はほとんどナラ材です。ナラ、クリ材の色合いは好きですね。電球色の照明によく合います。

 

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I house (Ichinomiya Aichi pref.)

高山市産のクリ材で制作したオーダーチェア

 

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今年の初市の様子 前夜に降った雪に埋まり、曲がりも確認できません(笑)

高山市産材が外材より優れているのではありません。使ってみるとわかるのですが、外材に比べれば小径木のために幅広の材料が取れないことや小節が多いなど欠点も多く、そのためかえって使いづらいくらいです。なので、個人工房をはじめ、多くのメーカーはこぞって外材を使用しています。楽ですから。ナラと表記されていても国産のものはほとんどなく、以前ならばロシア、最近は中国、ヨーロッパがメイン。ロシアの輸出がほとんどなくなってからは、あまりの流通量の少なさに北米産のホワイトオークが代替材となっていますね。もしかすると、そんなことさえ意識せず使っているところもあるかもしれません。

ここ高山は、大手メーカーのがんばりにより日本屈指の家具の産地と認識されるようになっていますが、一方では地元の広葉樹にはほとんど見向きもしてこなかった現実が存在しています(一部は使っているようですが・・ O.Vはどんぐりを植えたりしているので少し他とは違うかな)。これが大手家具メーカーの功罪だと思います。

 

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ようやく雪国らしい景色に

 

何も手をつけず老木になってゆくナラの木には、カシノナガキクイムシによるナラ枯れの問題も発生しています。老木になると被害にあいやすくなるため、その前の適正な時期に伐採さえしていればこの被害も少なくなることもわかっています。カシノナガキクイムシの被害にあったとしても、初期に発見し伐採できれば根は生きています。広葉樹は針葉樹と違い、根が残っていれば新たな芽が出てくるため救うことも可能なのです。今ある木々をしっかり管理してゆけば、サスティナブルな資源としてずっと使用できることは容易に想像できます。

しかし一方、広葉樹はどうしたら太く育てることができるのか、ほとんど研究されていないことを今回の会議で知りました。ならばなおさら、ブランド化するにあたってはただ広葉樹を使うだけではなく、基金を立ち上げより良い広葉樹の育て方を研究するような、次世代につながる活動にも力を入れられればと思います。官と民が力を合わせれば、全国の手本となり得る成果も生まれるかもしれません。そんな思いを込めた資料を作り、早速高山市に提出しました。実は3年前にもこれと似た内容で高山市には提出していたのですが、その時は何もなし。さて今回はどうなるでしょう。今回はO.Vも一緒なので、他の大手メーカーも巻き込むような大きなプロジェクトとして始動してくれたらいいなあと思います。

 

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