はな　

まだ一週間も経たないので落ち着かない様子はみられるが、少しずつ慣れてきてくれたようだ。

 

一昨年、昨年と相次いで2匹いた犬が亡くなり落ち込んだ。別れがとてもつらくて、もう2度と飼うまいと思っていた。しかも、いなくなったらいないで、世話する手間がなくなり楽な生活だと思ってもいた。当然、10年以上続けていた朝の散歩はなくなった。

あれから10ヶ月。楽だが張り合いのない生活に、なんとなく物足りなさを感じるようになった。幼少期より犬が身近にいた僕には、やはり犬と共に暮らす生活が合っているようだ。犬を飼おうと思い始めたら、じっとしていられない。ペットショップを覗いたり、ネットで調べたり。子犬を購入することも考えていたが、ある時期から恵まれない犬の里親になることに決めた。飛騨にもアニマルレスキュー飛騨という動物保護団体が存在する。そこの里親募集で気になった犬に面会。そして、「はな」が我が家にやってきた。

一見すると、狐のような細身の体。尾は垂れっぱなしで、どうやら背骨の神経を痛めているために尾を上げられないことがわかった。何があったのだろう。

「はな」は高山市の隣、飛騨市神岡町で保護された。心配した住民が通報し保健所や警察が捕獲を試みるが、ことごとく失敗に終わった。そして、何ヶ月も野良犬として過ごし、最近ようやく保護されたそうだ。心配した方々が FaceBookにも投稿していたようで、地域では少し知られた犬だったらしい（最近教えてもらいました）。

推定年齢は3歳。メスの雑種だが、柴犬のように見えなくもない。ただし、尾が垂れているので、もう少し太らないと狐だ。毎日、僕の軽トラの助手席におとなしく乗り、一緒に工房に通勤する日々。（犬を車に乗せるのは僕の長年の夢　以前の飼い犬は車酔いをして車移動がダメだったので、ようやく念願がかなった）

工房ではオフィス前につないでいるのだが、寂しくてキャンキャン鳴いては疲れて眠るを繰り返す。鳴く頻度も少しずつ減ってきている。それと同時にいたずらをはじめ、大事にしているオリーブとゴムの木が枝を折られてしまった。それ以外はいたって温厚。このままいけば、工房の受付として採用される見込みが強くなった。とにかく、大人しく車に乗っていられる特技は大きい。最近はコンビニに寄ったりもするが、吠えるわけでもなくじっと車内で待っている様子を見ると本当にかわいい。工房内にも入れたりするが、どうも生粋のアウトドア派らしく長時間耐えることができない。でも、冬場のことを考えて、少しずつ屋内にも慣れさせるつもり。冬場は薪ストーブの見張り番としての仕事が増える。

受付が必要なほどお客さんも訪ねてこないので「はな」に文句を言われそうだが、まあ落ち着かないよりはいいはず。僕も「はな」のおかげで生活にメリハリがつき、再開した朝の散歩で久しぶりにふくらはぎのだるさを味わった。いかに体を使っていなかったかを実感する日々。尾が上げられないためウンチやおしっこで尾が汚れてしまうので、しそうになったら尾を持ち上げてやるのが僕の役目だ。少し世話は大変だが、それ以上に得られるものが多い。やはり犬が身近にいる暮らし、いや「はな」との暮らしは楽しい。

「はな」

推定年齢3歳　メス　雑種　体重14㎏

出勤予定：原則毎日（土日は本人の希望を尊重）

仕事：工房受付　ニホンミツバチ巣箱の見張り　薪ストーブの見張り（冬場のみ）

特徴：垂れ下がったままの尾（警戒しているわけではない）

好きなこと：触ってもらうこと（身体中どこでもOK）　散歩　食べること

嫌いなこと：屋内　ひとりになること

特技：車に大人しく乗っていられること

本人から一言：ワン！