「ザ・チェア」のメイキング。
これはウェグナーによって1949年にデザインされ、PPモブラーというメーカーで制作されている椅子(1脚50万ぐらい)。この椅子の制作の肝は、肘から背へとつながったパーツである。フィルムを見ていただくとわかるが、加工はほとんどが機械。コッピングや3次元NCルーターと呼ばれる機械が、実に正確に加工をしてくれている。人が主体になって椅子を制作しているように見えるが、視点を変えるとかなり機械に支配されているようにも見える。ウェグナー自身も、安価に美しいものが作り出せるならば、機械化に賛同していたそうだから、この流れは喜ばしいことなのかもしれない。しかし、最近作られたザ・チェアは明らかにディテールの仕上げがお粗末らしい。機械化で楽になった分、仕上げに時間がかけられると思いきやそうでもないようだ。ただ、作り手として言えるのは、この作業に魅力はないということ。それが全てを物語っているかもしれない。