僕の大事なものを暖めてくれる相棒。
この1月にも、例年になく水分の多い雪が降った。日中は雨交じりになることも。気温が高いということだろうか。でも、そこは雪国。窓から見える景色は、白一色の世界。冷凍庫の中にいるようなものだから寒いのは当然。
しかし、工房の中は薪ストーブのおかげで快適。夜間は無人になるが、翌朝、熾(おき)が残っているぐらいなので室温が零下になることはない。想いを込めて制作している家具は、自分の子供のようなもの。だから、クライアントに届けるまでは、できるかぎり快適な空間に置いておきたい(寒い部屋に置いておくのはつらい)。
組み立てや細かな作業を行う部屋には、緑のアンコール(バーモントキャスティングス社製)。塗装をしたり納品までの保管に使う部屋には、黒のアンコール。2台のアンコールが工房を快適にしてくれている。使ってみて実感したが、このメーカーのストーブの良さは単なる暖房器具ではないところにある。
ストーブトップの延長として伸びているウォームアップシェルフと呼ばれる部分は、手で触れる程度の温かさを常に保っている。洗いたてのカップを置いておけば数分で乾いてしまうし、シェルフに付属するミトンラックと呼ばれる金属の棒にかけて乾かすこともできる。
そして、最近発見したのが、シェルフに弁当を置いておくと、暖かいまま保温されていることだ。今までは電子レンジで温め直していたが、それが必要なくなった。さすがに料理にはチャレンジできていないが、生活の道具として様々に機能するこの薪ストーブに大変満足している。
あまりに気に入ってしまったので、オフィスのストーブもこのメーカーのものに交換するつもり。オフィスは狭いので、小型のタイプにしようと思う。
機械場に設置されたガスボンベを改造したスチール製のもの(おかくずを燃やせるので重宝している)と自宅のものを含めれば、全部で5台の薪ストーブを所有している。吉田兼好は「家の作りやうは、夏をむねとすべし」と言ったが、こんな雪国では冬をむねとしなければならない。そのためには、薪ストーブは欠かせないアイテム。今日も風呂上りに半袖で過ごす息子がいる。風邪ひくぞ!と声をかけるが、暑いんだ!と返事。そんな姿を見て小さな幸せを感じる。薪ストーブは工房と自宅で、僕の大事なものを暖め続けてくれている。