手仕事の聖域崩壊始まる
前回のJournalを書いても間もないですが、今後の椅子のデザイン・加工について考察、予想していたことは既に進行しておりました。Houzz内のPR記事とあるので、カリモクが宣伝のために作らせている記事ではないかと思いますが、カリモクが今回ミラノ・サローネで出品したソファーの開発者の意図が、まさに予想のとおりでした。
「50年代の人が見たら、『これは全部手作業なんじゃないか』って思うようなものを、現代の工業品としてみせる。そんなコンセプトです」
家具づくりの世界の変革
この動きは、大手家具メーカーの主流になってゆくと思います。3次元NCなどの電子制御の機械がないところは、競うように導入するでしょう。我々のような個人工房でも精巧な手仕事を売りにしているところもありますが、同じ土俵で戦う強力なライバルの出現です。家具づくりの世界にも、いよいよ変革の波が近づいています。
カギは新たな付加価値の創造
建築の世界では既に当たり前になっているプレカット。工場で機械により複雑に刻まれた部材を現場で大工は組み立てるだけ。そのような流れが今後は家具づくりの世界にもやってくると思います。パソコンで図面を送信し材料を指定すれば、加工された部材が届く。それを我々は組み立てるだけ。生き残れるのは、ブランド化に成功しているところか、価格の安いところのみ。ブランド化に成功するとは、新たな付加価値を創造できているかどうかにかかっていると思います。作り手には受難の時代がやってきていますが、変革期には様々な可能性があります。面白い時代になって来ました。
飛騨高山の木と革でつくるトレーサビリティ家具
HLF / HIDA Leather Furniture ヒダレザーファニチャー
Makino wood works 牧野泰之