HIDA Leather 開発の原点

 

木材のコントロールが始まり。

 

 
飛騨は家具の産地でメーカーも多いが、使用している材料のほとんどは海外から輸入されたものである。どこでどのように伐採されたものか知ることもできない。私も当初は海外で製材・乾燥された材料を購入し、家具づくりをしていた。そこに何も疑問を抱いていなかった。

ある時、展示会でお客さんと話すうち、飛騨の家具は飛騨の材料であると多くの方が誤解していることに気づいた。それから材料を購入する先を、自社で製材しているところになるべくシフトしてゆくことにした。そこにはたまに飛騨周辺の木材があることに気づいたからだ。

しかし、欲しい時に欲しい量で在庫があることは稀だった。こんなに山に囲まれた環境でなぜだろう。その疑問を高山市にぶつけ、伐採業者さんとのマッチングをしていただいたのは今から7年前。売れないから伐り出さないという状況を知り、それ以来、毎月2回開催される県の木材市に通い、飛騨産のナラ材に絞って原木購入している(購入は冬場がメイン)。飛騨にはメーカー以外にも家具をつくる人はたくさんいるが、自ら木材市で原木購入している人にはほとんど会ったことはない。これが現状である。

無垢材は時とともに味の出る素材であり、このような素材は他にないかと考えた時、何十年と使われて恐ろしいほどの表情をした革を見る機会があった。その時、こんな革を使いたいなと思い、様々な革サンプルを取り寄せるが全てに違和感を感じた。何かが違う。昨今の技術の進歩は凄まじく、合皮と呼ばれるビニールレザーが本革とほとんど見分けがつかない状況。だが、昔の革とは明らかに違う。

飛騨産のナラ材をコントロールできるようになった時期だったこともあり、革も地元の飛騨牛の皮を使って自ら作れないかと自然に考えるようになった。そんな時、商工会のアドバイスもあり、小規模持続可補助金事業に採択されるという機会を活かして開発する機会を得た。

それから様々な困難にぶつかるが、なんとかHIDA Leatherの開発まで漕ぎ着けた。実際に革を作ってみて思ったのは、市販されている革がいかに工業製品化されたものかということ。技術の進歩でビニールレザーが本革と区別がつかなくなっていると先に述べたが、それは誤りだ。本革がビニールレザー化していたのだ。

それは今回製作したHIDA Leatherを見れば明らか。HIDA Leather製革に人の手間は惜しまないが、表情を均一化するような工程は全て省いた。だから、飛騨牛の生き皺や傷がそのまま残っている。この自然の表情を残した革だから、小径木で節も多い飛騨産のナラ材との相性はいい。

万人に愛されるものでなくていい、感性の合う人にだけ届けばいい。地元の素材のみで家具をつくる試みは始まったばかりである。


HIDA Leather ができるまで

HIDA Leather 開発物語 第1回 〜序章〜
HIDA Leather 開発物語 第2回 〜飛騨牛を見に行く〜
HIDA Leather 開発物語 第3回 〜タンナー訪問〜

HIDA Leather 開発物語 第4回 〜黒毛和牛・飛騨牛の原皮とサンプルづくり〜
HIDA Leather 開発物語 第5回 〜HIDA Leather 仕様決まる〜
HIDA Leather 開発物語 第6回 〜HIDA Leather 最終工程〜
HIDA Leather 開発物語 第7回 〜HIDA Leather 完成〜