HIDA Leather 開発物語 第6回 〜HIDA Leather 最終工程〜

 

仕様も決まり、製革は進む。

 

 
塩漬けされた原皮は石灰漬けにより膨潤し、この段階で余分な脂分と不要な革床とに分けられる。石灰によりアルカリになった皮は繊維がほぐれ、脱石灰後に1回目のタンニン鞣しが行われる。石灰が抜けた後にタンニンが入り込み、繊維と結びつくことで皮は革となる。黒毛和牛といえどその皮は真っ白なのだが、タンニンにより鞣された革は肌色に変化する。タンニンが繊維と結びついた革は、植物に近くなる。だから、木材と同じように経年変化する。



次の工程は最終的な革の柔らかさ・色合いを決める再鞣しの工程。再び、タンナーを訪問した。ちょうど墨染めが終わった状態であった。黒に関しては工程をきちんと踏めば、色合いについてはほぼサンプルと同じようになる。そのため、私の到着前に作業を始めていただき、最終的な色味の確認ができるタイミングを合わせていただいた。この後、ドラムで脂分が加えられ、革の柔らかさが決まる。タンニンで鞣すとクロム鞣しよりも硬くなってしまうのだが、脂分を加えることでクッションなどにも使いやすい柔らかさを出す。





問題は茶色であった。サンプルで狙った色は出せても、革の量が増えることで染料の比率がそのまま使えない可能性がある。現場で作業を見させていただいていたが、染料の配分の数字が飛び交い、素人には全く理解できない。ただ、薄い色から徐々に目的の色合いに近づけてゆく工程は、やはり経験を積んだ職人技を感じた。一つ一つの工程には時間がかかるため、最終的な色合い確認ができずに、あとは全てをお任せして姫路をあとにすることになった。数日後、工房に届いた本ロットのカットサンプルはまさに狙い通り。あとは、革を整え乾燥されて製革が終了する。カットサンプルではなかなか全体の表情が確認できない。果たして、どんな表情に仕上がっているのだろう。到着が待ち遠しい。