HIDA Leather 開発物語 第5回 〜HIDA Leather 仕様決まる〜

 

何百種類も存在するタンニンから飛騨牛の原皮にふさわしいものを選ぶ。

 

 
飛騨牛は和牛特有の脂肪分が皮に少ないらしく、その特性も踏まえてタンニンが決定された。意外にも難航したのは、色決め。自分の中に黒と茶という漠然としたものしかなかったからだ。

簡単だと思っていた黒からつまづいた。黒にもいろいろあり、何がいいのか決めかねてしまったのだ。そんな時、水瀬社長がいくつかサンプルを出してくれ、その中で一際目を引くものがあった。聞けば、墨染めだという。墨特有のテカリの奥に深みが宿っている。いい黒だなと感じた。HIDA Leatherにふさわしい黒だった。墨も産地によって異なるようで、試してもらったところ三重県鈴鹿市の鈴鹿墨との相性がいいと判明、採用された。

茶については目指す色合いが決まっていた。経年変化した時にこんな革になって欲しいというサンプルが存在したから。あとは経験値に基づき飛騨牛の特性を加味しながら、サンプルが製作された。こちらは私の想像を超えていて、本当に気に入っている。

どれも染色止まり。原皮は全て飛騨牛のものなので極端な特質の違いがないというのもメリットの一つ。これが様々な産地牛が混じる通常の製革だと染色だけでは色むらが大きくて、顔料による塗装が行われる。さらにクロム鞣しなので、時間が経っても経年変化しないし、顔料が劣化し色が薄くなる革になってしまうのだ。

水瀬社長の「飛騨牛の革はいい表情してる」という言葉が嬉しかった。いよいよ本格的に製革がスタートする。